― 基準を満たしている“つもり”の施設が抱える見えないリスクと、最低限取り組むべき改善策 ―
介護施設や高齢者施設は、利用者の健康と生活を支える重要な場所です。しかし、感染症対策が注目されるようになった近年でも、空調・換気の課題が十分に認識されていない施設は少なくありません。
「基準は満たしているから大丈夫」 「設計上は換気できているはず」 「エアコンも換気扇も動いている」
こうした“思い込み”が、実際には重大なリスクにつながっているケースもあります。
今回、この記事で介護・高齢者施設が抱えやすい空調・換気の問題点と、最低限取り組むべき改善策を、専門的な視点からわかりやすく解説します。
1.介護・高齢者施設が空調・換気の課題を抱えやすい理由
介護・高齢者施設は、一般的な飲食店やオフィスとは異なる特殊な環境です。 そのため、空調・換気の課題が構造的に発生しやすくなっています。
1-1. 高齢者は換気不良の影響を受けやすい
高齢者は
- 呼吸機能の低下
- 免疫力の低下
- 体温調節機能の低下 などの理由から、空気環境の悪化に敏感です。
CO₂濃度が高い環境では、
- 頭痛
- 倦怠感
- 食欲低下
- 認知機能の低下 などが起こりやすく、転倒リスクにもつながります。
1-2. 多床室・共有スペースが多く、密度が高い
介護・高齢者施設では、
- 食堂
- デイルーム
- 機能訓練室 など、利用者が集中する時間帯があります。
これらの空間は、短時間でCO₂濃度が急上昇しやすいのが特徴です。
1-3. 建物の構造が換気に不利な場合が多い
特に古い施設では、
- 外気導入が少ない
- ダクトが老朽化している
- 換気扇の能力が不足している
- 改装で空気の流れが崩れている といった問題が蓄積しています。
「動いているように見えるけれど、実は換気できていない」 というケースは珍しくありません。
1-4. 利用者の快適性を優先して換気が止められる
冬は寒い、夏は暑い。 そのため、
- 窓を閉め切る
- 換気扇を弱める
- ドアを閉める といった運用が行われがちです。
しかし、これが空気の滞留を招き、感染症リスクを高める原因になります。
■ 2. 空調・換気が不十分だと何が起きるのか
介護・高齢者施設では、空調不良の影響が特に深刻です。
2-1. 感染症の集団発生リスクが高まる
換気不足は、
- インフルエンザ
- ノロウイルス
- 新型コロナ などの集団感染を引き起こしやすくなります。
特に高齢者は重症化しやすいため、換気は命に関わる問題です。
2-2. CO₂濃度上昇による体調不良
CO₂濃度が高い環境では、
- 眠気
- 頭痛
- 倦怠感
- 認知機能の低下 が起こりやすく、 利用者のQOL(生活の質)に直結します。
2-3. 職員のパフォーマンス低下
空気が悪い環境は、職員の集中力や判断力にも影響します。 介護現場では、判断ミスが重大事故につながる可能性もあります。
■ 3. 介護・高齢者施設が最低限取り組むべき「重点課題」6つ:
ここからは、施設が“今日から取り組める”対策について解説します。
3-1. 換気量の確保(外気導入の絶対量)
- 給気・排気設備の稼働確認
- 外気導入口・排気口の詰まりチェック
- 換気扇の風量測定(年1回以上)
- サーキュレーターで空気の流れを補助
- 食堂・デイルーム・機能訓練室など 使用者の入れ替えのタイミングで換気タイムを設定
3-2. CO₂濃度の常時モニタリング
- 食堂・デイルーム・機能訓練室などにCO₂センサーを設置
- 1500ppmを超えたら換気強化
- 職員が数値を見て行動できる体制づくり
3-3. 空気の流れ(エアフロー)の確保
- 給気 → 利用者 → 排気の流れを確認
- 空気が滞留しやすい場所にサーキュレーターを配置
- 廊下・居室・共有スペースの空気の流れを可視化
3-4. 空調設備のメンテナンス
- エアコンフィルターの月1回清掃
- ダクトの点検(年1回)
- 換気扇の能力低下チェック
- 必要に応じて設備更新
3-5. 利用者密度と時間帯の管理
- 食堂を使用する人数を分散
- 入浴前後の脱衣所の換気強化
- 行事・レクリエーション時の換気ルール
3-6. 職員教育と運用ルール
- CO₂数値の読み方
- 換気タイムの運用
- トラブル時の対応(換気扇停止・異臭など)
- 新人職員への空調・換気教育
■ 4. 今日からできる改善の第一歩
- CO₂センサーを置く
- サーキュレーターで空気の流れを作る
- フィルター清掃を習慣化
これだけでも、空気環境は大きく改善します。
■ 5. まとめ:介護・高齢者施設の空調・換気は「命を守る基盤」
介護・高齢者施設は、利用者の健康と生活を支える場です。 そのため、空調・換気は単なる快適性の問題ではなく、命を守る基盤です。
基準を満たしている“つもり”でも、実際には不十分なケースは少なくありません。 だからこそ、
- 換気量
- CO₂モニタリング
- 空気の流れ
- 設備メンテナンス
- 密度管理
- 職員教育 この6つを最低限の重点課題として取り組むことが重要です。
「テレビのような大画面でCO₂濃度をリアルタイム表示できる業務用センサー」を製造しているメーカーのあります。 LEDの大型ディスプレイで、遠くからでも数値がはっきり見えるタイプを販売しています。
一般的なCO₂センサーは卓上サイズが多く、 壁掛け・大型LED・遠距離視認性を備えたものはまだ少ないのが現状です。介護施設・高齢者施設の空調・換気改善において、 このような大画面CO₂センサーは非常に有効です。
● 導入メリット
- 利用者・職員が 一目で換気状況を把握できる
- 「見える化」により、換気行動が自然に促される
- 感染対策の説明責任(家族・行政)にも使える
- 食堂・デイルーム・機能訓練室などに最適



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